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リー、マニフオールド、錨及び係留索等の情報・がますます必要になる。さらに船の船長間での会話を促進するための手段も必要となる。
4)切り離し手順
定められた地点上に船体の位置保持を行うためには、DPリグは海底からの物理的な繋がりであるアンカーやレク等を持たない。そうするためには多くの洗練された特別の機器が要求される。それらの1つが故障しても、誤動作をしたり、天候に負けてリグを危険な状態に向けて動かしたり、掘削地点から移動させることが無い。ライザーの非常切り離しの原因は機器そのものに関係し、このことが手順を開発するための主要なポイントとなっている。
既存の大部分の非常時切り離し手順書はそのリグが建造された時に作成され、履歴データはまだ利用できないため、すべての可能性をカバーしていない。それらは基本的に2つのコンセプトを考慮しているに過ぎない。すなわちイエローアラーム(ドリラーに作業停止と、考えられる非常切り離しの準備開始の警告を出す)とレッドアラーム(非常切り離しの作業を即刻開始するよう警告を出す)。これらの手順によると、両方のアラームは予め決められていたリグ位置のオフセットまたはライザー傾角のどちらかに関するものである。しかしながらオペレーションの経験から、このイエローアラームが出る前に、非常切り離しに発展する多くの状況が検出されることが分かった。その上、これらのアラーム間の時間は大変短く、多くの場合にはその間に障害(大口径のケーシング、ドリルカラー等)をBOPから取り除くことは不可能であり、坑井を危険にし、機器と環境汚染のリスクを増加させる。
実際にはオフセットとライザー傾角の増加は、機器を含む他の問題の1つの結果に過ぎない。その前に基本的なDP機器システムの機能低下が起こる。DP-PSの手順では、この機能低下の始まりからオフセットまたはライザー傾角がイエローアラームに達するまでの機能低下状態を考慮する。オフセットまたはライザー傾角がイエローアラームまたはレッドアラームに発する状態をイエローアラーム状態、レッドアラーム状態と呼ぶ。図3はこれらのコンセプトを示す。
非常切り離し手順の作業中、DP-PSに参画している人々は書類には記載無くとも、すべてのリグは機能低下での操業状態(この言葉は使われていなかったが)が始まることを避けるためのある条件を採用していたことに気づいていた。十分な書類がなくとも、同様な船やリグの中での違いを認識することが可能であった。得られた多くの経験(ペトロブラスは合計38年間のオペレーションと220の事故、71回の非常切り離しを記録している)、多様な意見とペトロブラスの契約者の協力により、すべての変数を考慮した手順を書くことが可能となった。克服した主要な障害は、各リグにとって主要なDP機器の確定、基本的オペレーションの単語の定義、非常切り離しの原因の十分な理解、明確な安全基準の記述であった。
この展開の結果、すぐに非常切り離し手順が2つのグループに分けられた。第1は、機能低下での操業状態をできる限り早く検知するために使われている条件を取り入れる。それが生じた時、大口径のケーシング降下や坑内への流体循環のようなクリティカルなオペレーションは開始できない。第2のグループは機能低下での操業状態、イエローアラーム状態またはレッドアラーム状態が突然起こった時に取るべき行動を取り入れる。以前考慮されていたのはこれだけであった。図4は1例を示すが、機能低下での操業状態を含んだものである。ドリルフロアで行う可能性のある他の50の状態が調査された。
その名前が示すように非常切り離しは、予期せぬ状態から逃げ出そうとすることで、速く、賢明な決定を求められる。DPオペレーターはできる限り早く、その必要性を検知し、ドリラーはほとんど考える時間も無くそれを実行する。このことは一部分は正しい。実際、多くの危険な状態は機能低下での操業状態が始まることを示す条件を明確に定義することにより検知できるが、ツールプッシャー、監督、船長やカンパニーマンが問題点を論議し、解決策を満足させる時間が必要である。

 

 

 

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